今から遡る事数年前、ザイア神殿に盗賊団が押し入り、
ザイア神が使用していたとされるマントを盗み出した。

エベラール達聖堂騎士団50名に奪回命令が下り、
盗賊団のアジトを突き止め、盗賊団を粉砕するも、
盗賊の首領が脱出用として用意していたテレポーターに誤ってマントだけが乗ってしまい
ランダムテレポートで行方不明になる。

判断に迷った隊長は騎士団のうち30名で盗賊団の残党を捕縛、
ザイア神殿に護送し、裁判にかけ正しき裁きを下す。
残る20名は、全国各地に散り、失われた聖遺物を探索すると決めた。

このうちの聖遺物探索チームにエベラールは選ばれ、世界各地を旅することとなった。
最初は騎士達は4人1組5チームに分かれ、聖遺物探索のために神殿
から資金援助を受け、人を雇い探索を開始したが、まったく手がかりが得られない。

そこで、20名のうちのリーダー格の人物の提案で、各々冒険者に身をやつし、
聖遺物の「探索」をメインとし、金銭も自給自足とする。
そして、月に1回伝書鳩で自分の生死と、有力な手がかりがあった時はその内容を連絡する。
手がかりが確信となった時は神殿にまで連絡し、増援の騎士も要請する。

こうして、世界各地に20名はバラバラに散っていった。

エベラールはわき目も振らずに聖遺物の探索に耽るが何ら手がかりを得ることは無かった。

そして、ひょんなコトで立ち寄った生まれ故郷の街で、馴染みの神殿
のシスター、マザージュリアから相談を受ける。  
神殿の経営する孤児院の少年たちが、生きるためとは言え、
追いはぎなどの犯罪行為を行っていると言うのだ。
最初はひとつ懲らしめてやるか…。程度の認識だったが、
少年たちのリーダー、カノンの剣筋から真っ直ぐな人柄を感じ、更正に手を貸すことにする。
それはエベラールにとっても聖遺物探索のために切り捨て
てきた人々への贖罪とも言えるものであった。

そして、カノン達の更正や、成長のために、暫く任務を休止していた
エベラールの元に遠方で捜索をしていた聖堂騎士の仲間から、
有力な手がかりがあったという情報が入る。
カノン達がある程度育っていたのと、当初の己の使命のために旅に出る決意をするエベラール。

旅に同行すると言って聞かないカノンに対し1年に1回は帰ってくる約束をし、
エベラールが戻って来たときに試験として模擬戦を行い、エベラールから1本取る事ができれば、
以後は旅に同行させるという条件でカノンを説得して、またも聖遺物探索の旅に出た。

 そして月日が流れた。

エベラールは約束を違えることなく、1年に1度は戻ってきたが
カノンはエベラールから1本取ることは未だできなかった…。
 
 そう、今までは…